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原発はもはやエネルギー源として“正当化できない”。GEイメルト発言の詳報(FGW) GEは福島原発の製造元でもある

英ファイナンシャル・タイムズ紙に掲載されたGEのCEOジェフリー・イメルト氏のインタビュー(仮訳)。

「時代は真にガス(シェールガス)と風力発電によって供給される方向にシフトしてきた」。米グローバル企業GEのCEOのイメルト氏は.多くの国がこの二つの発電が長期的に安価なエネルギー源として活用し始めた、と指摘した。

イメルト氏は石油産業の友人たちとの話として、「彼らがガスを長期的にこれまで以上に開発できることを認めている。このことは原子力発電の活用を今後、正当化することは難しいことを意味している」と述べ、低価なガス価格が続くことは経済ルールとしても妥当だとの見方を示した。

そして今後のエネルギー開発の方向として、「多くの国々が目指しているのは、ガスと再生可能エネルギー(風力あるいは太陽光など)の組み合わせだろうと思う」

インタビューを実施したFT紙は、イメルト氏の発言の背景として、米国でシェールガス革命が進行しているということと、日本の東京電力福島第一発電所の事故、さらにいくつかの再生可能エネルギー発電による電力価格の低下などの要因を挙げている。

米国でのシェールガス価格は過去10年来の低価格となっており、市場ではこの影響は米国以外の他の市場にも波及するとみている。さらに日本の原発事故によって、原発建設コストが全般的に上昇しているほか、なによりも原発運営の不確実性が高まっていることなども挙げている。
代替エネルギー市場の価格低下も著しい。太陽光パネルは過去3年間で75%の価格下落を引き起こしており、日中の太陽光による小売電力価格は、いくつかの国々では、通常の化石燃料による電力価格と十分な競争力を持つまでになっている。風力発電コストも同様の低下を示している。

こうした市場動向の大きな変化は、新規原発建設に国の補助金を使おうとしている英国では、保守党と自由党の間で明瞭な政策ジレンマを引き起こすなどの政治判断の変化につながりかけている。こうした点でもイメルト氏は、英国がカーボン削減の国家目標を立てていることを高く評価し、「厳格なルールはイノベーションを推し進める力になる」と述べている。

GEは原発も建設・販売しており、日本の日立製作所とジョイントベンチャーを設立している。だが、明確化するエネルギー市場全体の大きな構造変化を冷静に受け入れる一方で、GEはガスも風力も原発なども主要商品としている。実際、原発の売り上げは年間10億ドル前後で、総売り上げの1%以下と、大きなウエイトではない。

関連記事: http://financegreenwatch.org/jp/?p=14382

FT記事:http://www.ft.com/intl/cms/s/0/60189878-d982-11e1-8529-00144feab49a.html#axzz22Cu8Ic50

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イメルト氏の発言は、原発を倫理的に否定しているのではなく、コスト面で、ガスや代替エネルギーに勝てなくなってきたことを冷静に判断したうえでの企業人としての発言である。コスト上昇が避けられない原発にこだわるより、より低コストで市民に受け入れられやすいエネルギー源をグローバル・ビジネスの主流に置くというのは、企業人としてしごく当然の判断である。

特に原発の評価については、福島原発事故を引き起こしたのがGE製の初期原発であり、原発のプラス面もマイナス面も十分熟知したうえでの発言である点を忘れてはならない。GE製原発については元従業員らから「欠陥製品」との告発もあった。このため、イメルト氏は昨年3月11日の福島事故後ほぼ1か月後に日本を訪れ、東電などの幹部と会談し、「製造物責任の対象にならない」ことを確認したとされている。

イメルト氏の原発コスト増判断の背景には福島事故を踏まえたコストアップを十分に評価したものと思われる。ところが我が国では、こうした当然のコスト判断ができる企業人がきわめて少ない。いや、実は、原発の高コスト化をわかっている企業人は少なくないはずだが、戦後、経団連を牛耳ってきた電力業界への配慮から、政府の原発政策、電力自由化政策の行く末を様子見していると思われる。激しいグローバル競争での勝利を目指しているGEをはじめ主要な欧米企業には、そうした躊躇はない。

日本企業が「時代遅れのエネルギー(原発)」に固執し、そのコストアップを見ないふりをしている間に、日の丸グローバル企業は市場競争力を高められず、日本市場自体も競争力を失いかねない、というのが現在の大きな危機の一つである。変化を見極めるのが真の経営者とすれば、これまで原発を、日本をはじめ世界中に売り込んでおきながら、「Nuclea is hard to justify(原発はもはやビジネスとして正当化できない)」と潮目の変化を読み切ることのできる米経営者と、いつまでも電力会社のご機嫌をうかがうことに終始し、新たなビジネス展開への備えを怠る日本の経営者との違いは、あえて指摘するまでもないことだが。(FGW)

 

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