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供託金600万円 出馬足かせ 脱原発団体「高いけど集めるしか」(東京新聞) 二世議員が多い理由の一つがここにある

選挙に立候補する際に必要な供託金。制度そのものがない国もある中、日本は衆院選だと小選挙区三百万円、比例代表六百万円と世界一高い水準にある。一定の得票数に達しないと没収され、長年「立候補の権利を侵害している」との批判が根強いが今、あらためて疑問視する声が強くなっている。脱原発を求める市民団体は次の衆院選で候補者を立てようとしているが供託金の高さが普通の市民の出馬に大きな足かせとなるためだ。 (森本智之)

 「こんなに高額だとは知らなかった。集めるしかないけれど…」。市民団体「グリーンアクティブ」からの出馬を決意した東京都西東京市の会社員山口あずささん(50)は頭を抱える。

 小選挙区と比例代表に重複立候補する予定の山口さんに必要な供託金は六百万円。一人一万円ずつ計六百人から集めることを目標に、友人や知人らに声を掛けているが限界がある。近くカンパを募るためホームページを立ち上げる。同じく候補者擁立を目指す市民団体「緑の党」も、供託金制度を「民主的ではない」と批判、募金を呼び掛け始めている。

 日本の供託金制度は一九二五年の普通選挙法の制定にさかのぼる。それまで直接国税三円以上の納税者に制限された選挙権が全ての二十五歳以上の男子に拡大され、選挙に出馬する人の増加も見込まれた。このため近代化のお手本としていた英国にならい、売名目的などの立候補を抑制する目的で供託金制度が創設された。

 金額は二千円。これは当時の公務員の初年俸の約二倍にも当たり、本当の目的は、その頃「無産政党」と総称された社会主義政党が国政に進出することを防ぐことだったといわれる。帝国議会の審議では「制限選挙と同じではないか」「どんな理由で二千円と定めたのか」といった批判が一部で起きた。

 だが戦後も制度は引き継がれ、金額も繰り返し引き上げられた=表。理由は、物価の上昇のほか「選挙運動費用を税金で負担する選挙公営制度を充実したため」(総務省選挙課)という。国会で反対したのは、供託金没収の多い共産党など一部だけ。学界を中心に「資産家には抑止効果がなく一般市民だけを縛る」などの批判があったが、顧みられることはなかった。

 大妻女子大元教授の縣(あがた)幸雄氏(憲法)は「引き上げはほとんど無批判に行われてきた。現職議員にとって新人候補者を制限する施策に反対する理由はないからだ」と指摘する。

 実は、二〇〇八年以降、自民党は供託金引き下げを目指し、実際に麻生政権時代に公職選挙法の改正案を提出している。ただこれには、民主党の勢いが増す中、共産党などが候補者を出しやすくして対抗勢力の得票を分散させる狙いがあったという臆測もある。供託金はつねに権力を握る側が自分たちの都合のよいように利用してきたともいえる。

 世界を見渡せば、供託金の制度がある国は少数派だ。国立国会図書館によると、米国やフランス、ドイツ、イタリアなど大半の欧州諸国に制度そのものがない。英国(約六万二千円)、カナダ(約八万円)、韓国(約百五万円)も日本ほど高くはない。

 財団法人世界平和研究所の大沢淳主任研究員によると、「候補者乱立の不利益よりも立候補の自由の方が大切」として供託金制度を廃止した国や、供託金の代わりに住民の署名を一定数集めることを課している国もある。大沢氏は「高額の供託金は人材の新陳代謝の妨げになっている。解決法を講じるべきだ」と指摘している。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012092402000087.html

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