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★東電福島第一の廃炉コスト、米基準で7兆円の可能性も(FGW)

東京電力福島第一原子力発電所の事故封じ込めの見通しは依然、不透明だが、同原発の再開はほとんど見込めない。廃炉となった場合、どれくらいのコストがかかるかを試算してみた。すると米基準に照らすと、6基全部廃炉の場合、最大で7兆円かかる可能性が出た。

先に報じたように、世界ではこれまでに商業用原子炉だけで80基ほどの運転停止・廃炉実績がある。廃炉コストは原子炉のタイプによっても、国によっても異なる。先に報じたように、日本原子力発電の東海原発の廃棄費用は885億円と見込まれているが、同原発は黒鉛減速ガス冷却炉で、解体コストが多いタイプとされる。参考になるのが原発建設・停止実績の多い米英の例である。

ムーディーズのレポートによると、米国の場合、平均して発電量1kw当たり1000㌦と推計されている。内訳は7割が原子炉自体の解体コストである。一方、英British Energyの推計では、英国の場合は1kw当たり1750㌦となっている。これに当てはめると、福島の6基全体を廃炉にすると、米基準で約4000億円、英基準で7000億円となる。ただ、これらのデータは過去の物価水準の低い時代も合わせたデータの積み上げによるものであるほか、平時の運転停止⇒廃炉という時間をかけた段階的な手順を踏む場合のコストで、今回のような手をつけられないほどの事故の場合は、それでは到底収まらないと想像できる。

事故による廃炉の場合、当然、個別の事情が大きいが、米会計検査機関GAOはCatastrophic accident の場合は150億㌦、severe accident の場合は2億2000万㌦との推計をはじき、それぞれ原発のタイプや、規模、周辺住民の人口密度、土地使用パターンなどによって異なる、としている。さらにこれらの費用の76~90%が建物・不動産のダメージコストとしてはじいている。人的な健康被害は含んでいない。

このGAOの基準を当てはめると、福島原発はCatastrophic accidentとみなせるので、150億㌦の6基分で7兆4700億円と一気に膨れ上がる。またGAOは激しい天候条件下でのCatastrophic accidentの場合は、通常の場合よりも10倍にもダメージが広がるとの指摘もしている。この基準に沿うと、米基準で4兆円、英基準で7兆円という金額になる。GAOが指摘するように、あくまでも原発のタイプや個別条件によって異なるものの、激しい事故の場合は、今回のように土壌汚染、海水汚染を引き起こしてしまうので、その回復には超長期間がかかり、膨大なコストを必要とすることになる。

東電は先に報じた通り(http://financegreenwatch.org/jp/?p=681)、廃炉原発の解体コストとして8000億円近くの資産除去債務を現在のバランスシートに計上している。しかしこれは、新規原発中心の債務で、すでに設置から40年前後経過した福島第一の各原発については、償却期間が終わっている計算になると思われる。したがって、これとは別に、4兆円~7兆円の廃炉負債を抱えることになり、現在の自己資本をすべて投じても債務超過に陥る可能性がある。

GreenpeaceUSA http://www.greenpeace.org/usa/Global/usa/planet3/publications/nukes/Decommissioning%20Risks.pdf

GAO http://www.gao.gov/products/RCED-86-193BR

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